強迫性障害で手洗い・除菌の悪循環から抜け出すポイント
こんにちは。心理カウンセラーの武田秀隆です。
手洗いの回数がどんどん増えていき、日常生活に悪影響が出ている人はいませんか?
目に見えない汚れまでが気になって、以前は平気で触れていたのに、除菌シートで拭かないと触れなくなった人はいませんか?
不特定多数の人が触っている公共物(外のトイレ、ドアノブ、手すりなど)を触ると、手に汚れがついてしまい、その手で他の物をさわると汚れがさらに広がってしまう・・・。
そんな思いから触れない物が増えたり、ほんのかすかでも汚れているかもしれないと思ったら、手を何度も洗ってしまったり、服を何度も着替えたりしてしまう。
そんな症状で生きづらさを抱えている人もいると思います。これらの症状は、強迫性障害(OCD)の中の不潔恐怖の症状です。
今回は、不潔恐怖克服のポイントを5つまとめてみました。
不潔恐怖の原因は、脳の「間違った命令」です!
強迫性障害とは、脳が誤作動して、安全なのに「もっと洗え」「さわるな」と「間違った命令」を出す障害です。
脳に強迫観念がとりついて、そいつが「ニセモノの命令」を出しているのです。
手を3回以上洗う必要はないのです。また、発症前に平気で触れていた物なら触って大丈夫なのです。
なのに「もっと洗わなければいけない」「さわってはいけない」と思うのは、脳の「間違った命令」にだまされているだけなのです。
発症前と比べて、汚れに過剰に反応していると感じたら、「これは間違った命令のしわざだ!」と気づくことが重要です。
そして「間違った命令」には従わないぞと心に決めて過度な手洗いや除菌に歯止めをかける練習をしてくださいね。
脳の「間違った命令」を無視して、強迫行為に歯止めをかける。
本当はさわっても大丈夫なのです。なぜなら、発症前のあなたは平気で素手でさわれていたのですから。
もっと洗いたくなるのは脳の誤作動による「間違った命令」のしわざです。
汚くてさわれない気がするのも「間違った命令」のしわざです。
「もっと洗え」「さわるな」という脳の命令は「間違った命令」だから従ってはいけません。
「間違った命令だから従わないぞ!」と自分に言い聞かせて、過度に洗うのを止めましょう。
「間違った命令だから、さわっても大丈夫なんだ!」と自分に言い聞かせて、発症前に平気で触れていた物に触ってみましょう。
過度な手洗いや除菌などの強迫行為に歯止めをかけることが重要です。
克服のコツは、発症前の自分のように行動することです。間違った命令を無視して発症前の自分を取り戻しましょう!
強迫観念を放置し、強迫行為をやめて、次の活動へ移行せよ。
強迫性障害は、強迫観念の間違った命令に従ってしまい、強迫行為をくり返して、次の活動に移れなくなってしまう障害です。
だからこそ、それを克服するためには、強迫観念の命令を無視して、強迫行為をやめて、次の活動に移行する練習が重要なのです。
強迫観念はしつこいです。「万が一のことがあったらどうするんだ!」「早く洗え!もっと洗え!」と何度も言ってきます。
強迫観念はまるで、しつこい駄々っ子のようです。あなたが洗うまで、「洗え~!さわるな~!汚れが広がるぞ~」と大声で駄々をこねるのです。
そこで強迫観念に負けてしまい、手洗いなどの強迫行為をしてしまうと治りません。ここがふんばりどころですね。
強迫観念の言っていることは脳のエラーメッセージです。つまりウソです。ウソにだまされてはいけません。
何度も洗う必要などないのです。また、発症前に触れていたものには触って大丈夫なのです。
重要なのは、強迫観念を放置して、次の活動に移行することです。発症前のあなたのように行動することです。
うるさい強迫観念に対しては、「勝手にわめいとけ!」と、冷たく放置しちゃいましょう。
強迫観念は勝手にわめいているだけ。ほったらかしにしておきましょう。あなたはあなたで次の活動に集中していいのです。
いつまでも洗ったり、きれいかどうかを考え込んだりせずに、次の活動に移行することが重要なのです。
仕事でも、趣味でも、運動でも、料理でも何でもいいのです。集中力が必要な活動を用意しておきましょう。
その活動に集中することで、強迫観念のことを考えない時間を意図的につくることが重要なのです。
強迫観念から意識を外すと、時間とともに強迫観念は小さくなり、不安や嫌悪感がうすれてきます。
強迫観念を消そうとしない。脇に置く!放置が一番!
とはいえ、強迫観念は不安のもとなので、消し去りたいですよね。
実はここが落とし穴なのです。
多くの人が強迫観念を消そうとして「きれいからから大丈夫だ」と心の中で唱えるのですが、これはよくありません。
強迫観念が逆切れして「万が一汚れていたらどうするんだ!」と、からみついてくるのです。
いいですか。強迫観念を消そうとしてはいけません。言い返すと、からみついてくるのです。
何度も言いますが、強迫観念は放置が一番です。強迫観念を心の隅の方へ一旦どけておき、そこで放置するイメージです!
強迫観念を脇に置く!強迫観念を棚に上げる!強迫観念をかわす!
とにかく相手をしないで放置が一番ですよ!
強迫観念が「もっと洗え!今すぐ洗え!」と命令してきても、「勝手に言っとけ」と、ほったらかしにしてしまうのです。
もし、強迫観念が襲いかかってくるようなら、かわして距離を取るイメージです。
かわして距離を取り、相手にしないことが大切です。無視するのがいいのです。
とにかくあなたは次の活動に移行して集中しましょう。
強迫観念が「今すぐ洗え!さもないと大変なことになるぞ」と脅してきても、ほったらかしにしましょう。
所詮、脳の誤作動による間違ったメッセージが送られているだけなのです。真に受ける必要などないのです。
強迫観念をほったらかしにして、別の活動に集中していると、強迫観念は寂しそうに去っていきます。
あなたにとって大切なことは、強迫観念の相手をすることではなくて、別の活動に集中することです。
どうしても手を洗いたくなったら「30分間先延ばし作戦」
強迫観念を放置して、次の活動に集中することはとても重要です。
ですが、強迫観念をかわしきれなくて、どうしても手を洗いたくなる時があると思います。
だけど、すぐに反応しないようにしてください。あわてて洗ってしまうと、やめられなくなってしまいます。
少なくとも30分待つように練習してください。手洗いを先延ばしする練習です。
その30分間で、「バカげた命令だから無視しよう」と自分に言い聞かせて、手を洗うことを棚に上げて、別の活動に集中してください。
不安に襲われて「きれいかどうか」考えたくなりますが、それも30分後にしてください。
とにかく30分間は、強迫観念や強迫行為を棚上げし、何か別の活動に集中するようにしてください。
30分間でいいので、洗浄や除菌から関心を移すのです。
仕事でも趣味でも、何でもいいので、別の活動に関心を移して集中してください。意図的に別の活動をして、考えない時間をつくることが大切です。
あわてることはないのです。考える必要もないのです。強迫観念は、どうせ脳からの間違った命令なのですから。
別の活動に集中していると、脳が正常に働きだして、30分後には不安がうすれていることを実感できます。
「まだ気になるが、さっきほどではない」と思えるのです。
そこで、「さっきより不安ではないから、もう30分待ってみよう」と、さらに「先延ばし」をして、洗わない時間をどんどん伸ばす練習をしましょう。どんどん良くなっていきますよ。
時間かせぎ作戦は、すごく不潔恐怖を治すのに効果があります。ぜひチャレンジしてみてくださいね。